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かける ー未来を和凧に乗せて-
開催報告

会期 2018年12月12日~14日

会場 イタリア 国立ローマ・ラ・サピエンツァ大学
東洋研究学部 校舎内ガレリア

 

「何よりも嬉しかったのは日本の文化を受け入れてあんなにも喜んでくれたこと」――弊社代表 志知正通

平成……国の内外、天地とも平和が達成される。

その願いとともに私たちはこの時代を駆け抜け、平成から新しい年号となる最後の年にイタリア国立ローマ・ラ・サピエンツァ大学にて日本からの芸術家たちによるアートカイトの展覧会を開催しました。
――日本の伝統文化である愛知県の田原凧と現代の日本代表アーティストのコラボレーションのアートカイト展覧会。

イタリアはルネサンス発祥の地であり、ルネサンスとは「再生」「復活」を意味し、古典古代の文化を復興しようとする文化運動であり、14 世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まりました。その文化、歴史的背景を残す首都ローマは、古代ローマ帝国の時代から、ルネサンス、バロック、現代と人類のあゆみをそのまま今に伝える永遠の都です。 
――その中心地にあるのがイタリアローマ大学、ローマ・ラ・サピエンツァ大学。展覧会会場となったローマ・ラ・サピエンツァ大学は1303 年創立のヨーロッパ屈指のイタリア名門大学であり哲学、古代史、イタリア史、美術史、イタリア文学等の人文学分野において優れていて、ノーベル賞受賞者を含め、数多くの著名人を輩出している西ヨーロッパ最大規模の大学です。

2018 年12 月12 日――展覧会初日――
クリスマスの雰囲気に満たされたローマの街は重たげな雲の下、所狭しと駐車した車の間を行き来するタクシーや急ぎ足で行きかう人々で賑わっていました。肌に触れる冷たい冬の空気が心地よく、これから始まる展覧会への思いと緊張の中、スタッフはローマ大学へと向かいました。スタッフが大学に到着すると、講堂前は、すでに展覧会を心待ちにしていた学生たちで溢れていました。

――こんな面白い展覧会は初めて!――
アートカイトの鑑賞がついに始まりました。
「和凧の中に作品が上手く溶け込み、バランスがいいですね」デザインを学ばれている学生たち。

「私は、日本特有の文化、その芸術や歴史を学ぶために、ローマ・ラ・サピエンツァ大学に入学しました。日本全国でご活躍されているアーティストの皆様の芸術作品がアートカイトになったと告知ポスターで知りまして……。それを誰よりも早く目にしたくて、朝から楽しみでした」と満面の笑みで答える男子学生。「和紙を素材として芸術を鑑賞する機会が初めてだったので、驚きました。
和紙の風合いと作品がうまく融合して色も綺麗ですね。和紙の独特な素材感によって作品がより一層輝いて見えます」と東洋研究学部の教授陣が頷いていました。
その隣では、「日本の伝統的な和凧と日本のアーティストのコラボレーションが観られるなんて本当に幸せです。作品と一緒に記念撮影をするのを楽しみにしていたんです」と女子学生とその友達が嬉しそうに写真を撮っていました。

――「こんなにも喜んでくれている」
志知正通は実感しました。
「こんなにも日本を受け入れてくれている。たくさんの学生や先生方が楽しそうに作品を観ながら、思い思いの感想や、質問をぶつけてきてくれる。作品と鑑賞者の距離が近く、スタッフと鑑賞者同士が自然に会話をする。これこそが本当の芸術と世界との文化交流ではないか」

――「あの決断は、正しかったのだ」
わたしたちは今日まで、ピカソやゴッホを始めとする世界を代表する巨匠たちが手がけてきたワインのアートラベルの文化に着眼し、幾度となく展覧会を開催したり、国立美術館へアートタイルを展示したりなどの実績があります。

しかし、今回のアートカイト展を開催するということは、わたしたちにとって初めての試みであり、志知は、今回の展覧会に参加されるアーティストの方々の期待に応えられるかというプレッシャーを抱え、日伊芸術文化教育実行委員会に所属されている長谷川栄先生やモドーニ先生と何度も会議をしていました。

しかし、M.Y.Y. コミュニケーションズ創立初のアートカイト展の会場内を埋め尽くす学生や教授の方々の姿を目の当たりにし、志知の心は一気に晴れ上がり、まるで会場全体にローマの空が広がったかのようでした。また、ローマ大学の大きなガレリアに整然と並ぶ、繊細で、趣深い240 点のアートカイトから、作品に携わる方々からのメッセージが伝わり、日本からのアーティストの皆様の思いを身に染みて感じました。

無形文化遺産である日本の田原凧に伊勢和紙を用い、日本の代表の芸術家の作品を職人の手で一つずつ丁寧に作り上げそれを展示し、日本の精神を身近に肌で感じていただきたい――そして、「未来を担う学生たちに、心のこもったアーティストの作品を活用していただき、日本とイタリアの芸術での国際交流をさせていただき、アートカイトに新たな文化を創造したい。そこで、ぜひとも珠玉の日本芸術作品を未来への懸け橋に……」
このような思いのもと開催されたアートカイト展覧会。この展覧会を行うという志知の決断は、日本とイタリアを繋ぐ未来へとつながっていました。

――講堂にて――
芸術交流会
学生たちは、大学内に貼られた『翔-未来を和凧に乗せて-』アートカイト展覧会の告知を目にしてから、この日を心待ちにしていたそうです。
芸術交流会に参加できる人数は、制限が設けられていました。そのため、何時間も前から大勢の学生たちが席を取るために、まだかまだかと開場の時を待ち構えていました。開場の時間をついに迎えた講堂には、期待と興奮を胸にした学生たちの楽し気な声が徐々に広がっていきました。

ローマ・ラ・サピエンツァ大学東洋研究学部教授であるマストランジェロ・マティルデ先生、弊社代表 志知正通、そしてイタリア側代表 美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生とご挨拶が行われます。
沢山の学生が見つめる中、モドーニ・ルヴィ先生の通訳のもとご挨拶が始まりました。

弊社代表 志知正通(中央)

マストランジェロ・マティルデ先生
「日本の芸術家の先生方のアートカイトは、『新しい日伊の未来への懸け橋』となりました。しかも、アートカイトから感じる日本の心や伝統は、時を経ても学生たちにメッセージを与え続けていただけることでしょう。それは、新たなる日本とイタリアの歴史の始まりを意味しています」

代表 志知正通
「ボンジョルノ! ボンジョルノ!」志知正通の大きな声が講堂へと響き渡った瞬間、「ボンジョルノ!」の声が即座に返り、学生たちの表情がみるみる笑顔へと変わっていきました。「この度は、イタリアを代表する国立ローマ・ラ・サピエンツァ大学に『未来への懸け橋』であるアートカイトを日伊の歴史の1ページとして刻むことができ、大変嬉しく思います。この壮大な催しを開催することができたのも、日本全国から選ばれた芸術家の先生方、そして日本古来の伝統を大切に引き継ぐ和凧の職人さんたちのご理解とご協力があってのことです。誠にありがとうございました」

ローマ・ラ・サピエンツァ大学東洋研究学部教授
マストランジェロ・マティルデ先生

モドーニ・ルヴィ先生
「日本を代表する芸術家の先生方の温かい気持ちの込められたアートカイトを、この学校で教材として継承出来ることを誇りに思います。本当にありがとうございます。日本の伝統であるアートカイトを肌で身近に感じ、日本の文化の素晴らしさ、伝統を重んじる大切さを感じることができます。これからは、教材として沢山の学生たちに活用させていただくことができます。こんなに嬉しいことはありません。今から学生たちの反応や笑顔を見ることがとても楽しみです。また、これから、日本からお越しくださった芸術家の先生方には、アートカイトとして起用されたお作品についての解説をしていただきます」

美術研究家 モドーニ・ルヴィ先生

この時間は、大学の正式な授業として扱われ、 『日本人アーティストと芸術文化交流会』と題し発表作品についての想いをテーマに、日本からいらっしゃった芸術家の先生方のスピーチが行われました。先生方は、作品に対する熱い想い、制作に対する情熱、洗練された感性や日本の伝統文化などを、プロジェクターに映し出される作品のもと熱く語られました。その後の質疑応答の機会では、学生たちによる鋭い質問や率直な意見交換などがなされ、ノートをとる真剣な眼差しとその積極的な態度を見ると、ローマ大学で展覧会を開催し日本の文化を伝える重みと責任感を更に実感いたしました。また、イタリアまでお越しになっていただくことが出来なかった先生方のお作品に対する想いや日本での活動は、モドーニ先生がイタリア語で、身振り手振りを交えて学生たちにお伝えしました。

アーティストのスピーチ後、学生たちや先生方からの歓声と拍手は、まるで炭酸水の泡がはじけるように講堂に響きわたりました。

12月14日
――マストランジェロ・マティルデ先生の研究室にて――
志知正通は、“未来への懸け橋”である日本人アーティストの皆様の気持ちを未来に伝えるため、マストランジェロ・マティルデ先生にアートカイトを寄贈いたしました。その総数は、240点。それらは、今後もこのローマ大学で、東洋の文化を学ぶ学生たちのために教材として活用されます。先生方の作品を通して日本の文化を学び、日本的な感性を豊かにした学生たちは、今回お力添えいただいた日本のアーティストの皆様の思いを胸に未来へと羽ばたいていくことでしょう。
「日本人アーティストの皆様より、心のこもった素晴らしいアートカイトをいただき、とても光栄に思います。本当にありがとうございます。心より感謝いたします」と深くお辞儀をするマストランジェロ先生。そのお言葉は弊社のスタッフたちを笑顔にさせました。

「朝が来てまた夜が来る。ローマは1日にしてならず。これらのアートカイトは、この何気ない日々をローマの歴史とともに歩んでゆくのですね」――と目を閉じる志知の姿は、これからの日本とイタリアの未来を思っているかのようでした。アートカイト1枚1枚に乗せられた未来への希望。ローマに吹くあたたかな風の中をアートカイトが泳ぐとき、今回の展覧会の思い出と未来への希望がローマ1面に降り注ぐことでしょう。そして、それらは新たな希望を見出すために未来へと泳いでいくことでしょう。

こうして、『翔-未来を和凧に乗せて-』アートカイト展覧会は、無事に幕を閉じ、アートカイトが日本とイタリアの未来への懸け橋となりました。

文/文化芸術振興部 大貫 純子