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文化的な空間の共有

日本より一足先に季節は夏から秋に移り行くParis、道行く人々はまるで旬のものを味わうように、秋の装いの新鮮さを楽しんでいるようでした。
毎年、第3週の土日に行われる『ヨーロッパ文化遺産の日』や月末に開催されるパリコレクションなど文化イベント目白押しの9月のParisには世界中から文化人が集まるそうです。
特に、ヨーロッパ文化遺産の日は、国を挙げての一大イベントでフランスが誇る文化遺産17,000か所が公開され、26,000にも及ぶ催しが開催されます。普段は立ち入り制限のある文化施設に入場することが出来る絶好の機会で、公開される文化施設では来場者の受け入れ準備に追われ、文化施設を間近に見ることが出来る年に一度のチャンスを楽しみにしている人々など、どことなく街全体は歴史が作り出したインスタレーションの様相を呈していました。

瀟洒な街に溶け込むギャラリー

この度の展覧会はセーヌ川左岸のParis7区の『ギャラリーモナリザ』で開催する事になりました。
「ご存じの方も多いと思われますが、7区はエッフェル塔からサン・ジェルマン・デ・プレにかけての華麗な地区で、文化施設ではオルセー美術館・ロダン美術館など幾多の美術館が点在し、国民議会・首相官邸・大使館などの官公庁やユネスコの本部も置かれ、一流メゾンのファッションブティックも軒を連ねる瀟洒にして優雅な光を放ちパリを語るに欠かせない土地で、目と鼻の先にはイタリア大使館があるので、職員の方もよくおみえになられます」

ギャラリーモナリザのオーナーのイザベル・ロミック氏は土地柄について語ってくれました。ロミック氏のお父様はサルバドール・ダリと親交が深く、芸術家を応援するためにギャラリーモナリザを創業し、現在では著名なコンテンポラリーアート作家の作品を扱うギャラリーとしての地位を確立しており、海外から足を運ばれる方も多いそうです。
9月13日から3日間、開催する『Parisヌーヴォー・ジャポニスム芸術展』のオープニングを明日に控え、ギャラリーでスタッフが浮世絵になぞらえ特注で拵えた大判サイズのアートパネルを一点ずつ展示して半ば頃に、はやる気持ちを抑えられなかったようでロミック氏のアーティストの友人たちが様子を伺いにきました。

友人のアーティスト曰く、今から150年前は芸術表現の変革時期で、モネやセザンヌ、ゴッホなどの芸術家たちが1867年のパリ万博を機にフランスやヨーロッパに一大ムーヴメントを起こした日本の芸術文化に出逢い、そのことが印象派の名画やアールヌーヴォーが生まれるきっかけとなり、今日のフランスの芸術文化を形成しているそうです。
我々の祖先がフランス芸術界において大きな影響を与えたと思うと誇らしく感じました。

待望の日本芸術を求めて

展覧会初日、昨夜からの雨も止み濡れた石畳は朝日を浴びて輝いていました。ギャラリーの大きなショーウインドーから差す朝日が整然と展示されたアートパネルを照らし、白を基調としたギャラリーはひんやりとした空気も相まって厳粛で清らかな雰囲気に包まれていました。
Parisのアートやスペクタクルを網羅し、抜群の知名度を誇る美術情報誌『ロフィシェル』でのインフォメーションとギャラリーモナリザの人気の高さで、平日にも係らずオープニングから沢山の芸術家・詩人や文化的な方々などの多数の方がご来場され、何人かの方にお話を聞くことが出来たので内容を紹介いたします。
「敬服する巨匠が憧れた日本芸術と向き合うことにより、今よりもっと心から感じることや個性を魅力的に表現したい」
「日本芸術はルネサンスにも例えられ、150年前から現代までもインスピレーションとイノベーションの源泉であり続けていることを、この展覧会で確信した」感性の共鳴や互いの文化の再発見など、刺激に溢れた時間の経過は早く、初日は歓声とともに幕をおろし、また、この日は2020年開催の東京オリンピックの次の開催が2024年Parisに決定した日でもあり、不思議な縁や特別な絆を感じる記念すべき日になりました。

街に歌が響きだす

展覧会二日目、この日は実行委員長の長谷川栄先生ご夫妻も開催セレモニーのために、ギャラリーにお越しになりました。
「ギャラリーモナリザはフランスでも特に明るくて、多くの芸術を受け入れる素晴らしいギャラリーで、私も5年前に大型個展をした特別な場所です。先進的な展示として大判サイズのアートパネルを公平に隣り合った作品同士が引き立て合って、素晴らしく平和で温かい展示が出来て、この展覧会にご来場される方の事を考えると、とても嬉しく思います。」
長谷川先生に全ての展示作品の魅力や思い入れなど、展覧会について語っていただきました。開催セレモニーには、日本から駆けつけて下さいましたご出展の先生方と、長谷川先生やロミック氏がこの日のためにご招待をした美術関係者や多岐にわたるジャンルのアーティストがお越しになられ、その活気あふれる空間は印象派が活躍した時代のサロンを彷彿とさせるようです。

「Parisヌーヴォー・ジャポニスム芸術展の趣旨は新しいジャポニスム、つまり新しい日本主義で、150年の月日を経てさらに高度で洗練された日本芸術は、アートの未来への行方を展望できる綜合美術展として、将来この展覧会が影響を与えたアートの世界の到来を楽しみに待つことにしましょう」と長谷川先生より開催のお言葉をご頂戴いたしました。
長谷川先生の思いが心の中でこだましていると、ご来場者のお一人の声楽家が張りのあるバリトンでオペラを披露してくだり、威厳のあるバスの力強さとテノールの透明な輝きを併せもつ歌声は、通りを伝いノスタルジックな街の空間全体に響きわたるように感じました。

 

まだ見ぬ未来との出逢い

展覧会最終日、しばしば極東の宝石とも例えられる日本芸術を心に焼き付けようと、大勢の人々で賑わい、時代の空気感を反映したこの活気こそ文化交流の最大の魅力だと思います。
進化し続ける現代の日本芸術を通して、芸術の世界にはどんな未来が待っているのだろうか、作品を通しての数々の出逢いや交わされた会話を反復していると、此処にこそ対話があり、人と人との和があり、平和的で夢があり、まるで時代が作られる瞬間を垣間見たように感じました。

日本文化に染まるベルシー美術館

ヨーロッパ文化遺産の日、地下鉄クール・サンテミリオン駅を出て、サンテミリオンショッピングアーケードを抜けると、魅惑的なおとぎの国への誘い、煉瓦で出来た丸天井の出入り口、金属製の大きな骨組みを持つ珪石で建てられた趣深い見事に復元されたワイン倉庫の中にベルシー美術館があります。その様子はまるで建物の一棟一棟が博物館の展示物のようです。
朝方の雨による悪天候にもかかわらず、小さなお子様から大人まで、夢の世界に誘われたかのように開館から長蛇の列をなしていました。

ベルシー美術館は19世紀の終わりから20世紀初めの時代の縁日の雰囲気を再現しようと館長であるジャン=ポール・ファヴァン先生がヨーロッパ各国から沢山のアトラクションを集め、まるで魔法にかけられたような見事な演出がなされています。 『日本人アーティストと芸術文化交流会』と題しヌーヴォー・ジャポニスムをテーマに、日本からご来場された芸術家の先生方の実演パフォーマンスが行われ、披露された卓越した技術と、洗練された感性や日本の伝統文化を間近でご覧になられたご来場者の方々からの歓声と拍手は止むことがありませんでした。

歴史的建造物で新たな歴史が刻まれた瞬間

会場の空気が熱気を帯びた頃に、授賞式とParisヌーヴォー・ジャポニスム芸術展で展示された作品アートカードの収蔵式が行われ、まず、最初に長谷川先生、ファヴァン先生によるご挨拶をご頂戴いたしました。
授賞式ではファヴァン先生が授賞者の名前を読み上げると、会場は大きな拍手に包まれ、称賛の声はベルシー美術館の歴史的な建物に沁みてゆきます。
最後に代表の志知正通はParisヌーヴォー・ジャポニスム芸術展を顧みて感想を語りました。

「芸術の都と称されるように、いつの時代も流行を発信し続ける世界有数の国際都市Parisで展覧会を行えたことを大変嬉しく思います。また、本展の開催にあたり趣旨に賛同し、珠玉の作品を発表していただいたアーティストの皆様、日仏両国の主要な美術関係者のお力添えに感謝申し上げます。本展が日仏友好の証として花開いたことに感動を覚えます。皆様のより良い人生の一端となれば幸いです。」

文/文化芸術振興部・鈴木 耕平
写真/SATO Jun