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「どうか、日本全国で、ご活躍されているアーティストの皆様の想いが熊本復興へと繋がってゆきますように」ーー真冬の風にとけてゆく神妙な面持ちをしたM.Y.Y.コミュニケーションズのスタッフたちの吐息。

ふわりと一陣の風が吹き、朝陽に照らされた銀杏の葉が一瞬、黄金色にきらめいたかと思うと、その合間から熊本城がみえました。城壁が崩れ、クレーン車などの重機たちに囲まれた熊本城の姿を前にして、言葉を失う弊社のスタッフたち。

「今、目にしているのが熊本の現実だ。よく目に焼きつけて、必ずや、『熊本復興祈願・希望の灯り聖夜芸術展』を成功させよう!」

弊社代表の志知正通が先頭に立ち、目配せをした瞬間に「はい!」と息を合わせたように答えたスタッフたち。一行は、凛とした気持ちで展覧会初日《12月21日》を迎えました。

バッハの『G線上のアリア』の旋律に包まれる会場の中央に整然と飾られた〝竹あかり〟のモニュメント。それを中心線にして、右側にはアートポスター、左側には芸術作品の実物が展示されています。展示総数は、202点。

絵画・書道・工芸・陶芸・詩歌・写真・フラワー・ジュエリー・人形・きりえなどのすべてのジャンルが展示された空間は、特設された照明によって、まばゆいまでに輝いています。さらに2016年に〝来熊120周年〟を迎えた文豪・夏目漱石の春夏秋冬を詠んだ俳句を始め、美術評論家の長谷川栄先生、心理カウンセラーの清田予紀先生、美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生の作品も展示されました。また、〝熊本復興祈願〟のテーマのもと、公的機関の協力を得て、熊本市内にある保育園の園児たちが描いた絵画も展示されたのです。

「私は、熊本市の出身なのですが、〝竹あかり〟は熊本の人々にとって、熊本城を照らす冬の風物詩としても親しまれていまして――。日本全国で、ご活躍されているアーティストの皆様が制作された芸術作品とのコラボレーション《共演》は圧巻ですね」と、満面の微笑みを浮かべる本展覧会の実行委員である心理カウンセラーの清田予紀先生。その隣で、志知正通の脳裏には、本場の〝竹あかり〟をプロデュースされ、本展覧会に後援協力をしていただいた企業である〝ちかけん〟のスタッフの方々の真摯な表情が浮かんでいました。

立派な竹に施された繊細な仕掛けを黙々と設置される〝ちかけん〟のスタッフの方々が寄せる地元・熊本への想い――それに重なるようにして、進められた芸術作品の展示作業の光景を反芻し、俄かに志知正通の頬を涙が伝いました。

流通情報会館

午前10時30分になり、涙で目頭が熱くなる志知の網膜に焼きついた保育園の子どもたちとツアーにご参加いただいたアーティストの皆様の笑顔。先生に引率してもらい、礼儀正しく列を作り、芸術作品の前で立ち止まっては、「わあ! すごくきれいだよ! 先生! ぼく、今日の展覧会へ来るのを楽しみにしていたんだ!」と、男の子がはにかみ、「わたしも! わたしも!」と女の子が続きました。 「ねえ! わたしもこんな立派な作品を作ってみたいよ! それでね、大人になったら、画家になるの」と、先生の服の袖を引っ張って、興奮するポニーテールの女の子。



「ぼくは、迫力のある工芸作家になりたいな!」、「ぼくは、書道家!」、「わたしはジュエリー作家!」、「おれは、写真家になるんだい!」、「エヘッ。わたしは、きりえや押し花もやりたいし、人形も作ってみたい。もちろん、詩や短歌も! だって、どの作品も輝いているから!」ーー 芸術作品を前にして次から次へと交わされる子どもたちの会話。そこへ志知正通を始め、スタッフたちが立ち、芸術作品の前で云いました。

「いつか、キミたちなら、夢が叶うよ! 熊本の……いや、将来、日本の未来を創造するキミたちを日本全国で、ご活躍されているアーティストの方々も応援してくれているよ! それに地元の復興に全力で取り組んでいる〝ちかけん〟の皆様たちも! きっと!」

幼い掌と掌が触れて生まれてくる拍手――子どもたちの双の瞳には、〝竹あかり〟に照らされた芸術作品が映り、「今日は、ほんとうにありがとうございました!」という言葉が会場にこだましてゆきました。

弊社代表
志知正通

11時30分になり、会場内に流れるセレモニーを告げるアナウンス。

会場内がヨハン・パッヘルベルの『カノン』の旋律に包まれる中、弊社代表・志知正通が挨拶し、司会から実行委員長の長谷川栄先生が体調不良によりご欠席された旨が告げられました。
「この度は、『熊本復興祈願・希望の灯り聖夜芸術展』にご参加いただき、誠にありがとうございます。ご参加いただいたアーティストの皆様の芸術作品によって、熊本の皆様が安らいだお気持ちで、クリスマスを過ごされることを心より願っております」

司会が長谷川栄先生からお預かりしたメッセージを読み上げ、拍手が止むと、心理カウンセラーの清田予紀先生がご挨拶をされました。会場の受付で配布された用紙をもとに行われた心理テストで沸く場内。その後、司会の号令とともに会場内の照明が一時的に落とされました。

――「〝竹あかり〟の点燈式です!」

真っ暗な場内の中央に設置された〝ちかけん〟のスタッフの方々によって、本展覧会のために特別に誂えていただいた〝竹あかり〟――そこへゆっくりと光が宿ってゆき、日本全国でご活躍されているアーティストの皆様のメッセージがつらつらと浮かんで、ご来場されている方々の心に記されてゆきます。ぽうっとした聖なる光とともに。

再び、室内には照明が戻りましたが、〝竹あかり〟に照らされた芸術作品たちだけは、幻想的な光を放ち続け、無事に展覧会初日を終えました。

心理カウンセラー
清田予紀先生

展覧会の2日目《12月22日》は、雨天の予報を覆して快晴だった展覧会初日とは異なり、天候は大雨となりました。しかし、午前9時30の開館直後から、会場内では「パシャッ!」という音が聞こえると同時にカメラのフラッシュが瞬いています。

「まさか、さまざまな芸術作品と熊本で有名な〝竹あかり〟の文化を同じ空間で一緒に鑑賞できるなんて思いもしませんでしたよ。私は、生まれも育ちも熊本なんですがね、こんなことは初めてですね。長生きはしてみるものだと改めて、感じましたよ」と、芸術作品を収めたカメラを大事そうに抱え、帽子を脱ぎ、一礼をするご年配の男性。隣では、「こんなにもたくさんの素晴らしい芸術作品を二人で鑑賞するなんて、何年ぶりかしらね?」と、照れながらご主人の手を取るご婦人の姿もありました。

――「今こそ、心と願いを込めて!」

正午になり、志知は熊本地震で最も甚大な被害に見舞われた熊本県上益城郡益城町へ向かいました。地震の影響によって歪が生じた建物を目の当りにし、心が抉られながらも、一生懸命になって働いている役場の皆様の真剣な姿に心が自然と動かされます。

「本日は、日本全国で、ご活躍されているアーティストの皆様からのクリスマスプレゼントを持ってまいりました! 復興には、まだまだお時間がかかるかと思いますが、少しでも復興の一助となれればと思いまして」ーー志知は、〝熊本復興祈願〟の想いが籠められたアートカレンダーを役場の復興課の職員さんに手渡しました。

――「この度は、誠にありがとうございます!」

役場で働いている皆様から感謝のお言葉をいただき、深々と一礼する志知正通は、窓越しに映る紅に染まった雨あがりの益城町の光景を眺めました。アーティストの皆様の気持ちが熊本の皆様に〝希望の灯り〟を点してくれることを願いながら。

展覧会3日目の最終日《12月23日》。
午前9時30分の開館を待たずして、会場の入口から子どもたちの元気な声が聞こえてきました。
「ねえ、パパ! ママ! お兄ちゃん! こっちだよ!」と、受付でご芳名をしている最中のご家族のもとへと駆け寄るポニーテールの女の子。
「先日は、保育園の課外教室として、この展覧会場を見学させていただいたそうで」と一礼するご婦人。

「2日前の夜は、私も仕事が早く終わりましてね。玄関に入った途端、〝おかえりなさい〟と云ったかと思いましたら、この展覧会での話をたくさんしてくれたんですよ。もう、それは今までに見たことのないほどの笑顔で……」

ご主人がお話を終えたのを見計らって、「ぼくも大切な妹から、〝すごくステキな芸術家さんたちと一緒に絵を展示したんだよ〟って聞いて。そしたらね、たまらなくかわいく思えて、妹とか、パパやママと家族全員をギュッと抱きしめちゃっていたよ」と舌をペロッとだして、ほのかに顔を赤らめたお兄ちゃんが芸術作品の前に立っていました。

――〝家族の愛〟に満ちた光景が広がる会場内。

それから、どのぐらいの時間が流れたのでしょう。
展示された芸術作品たちの前は、つねに感謝の言葉が交わされ、「時間」の概念すら超越してしまったかのように淡い光に包まれていました。

――『安々と海鼠の如き子を生めり』

俄かに会場内に届いた夏目漱石の俳句。
かつて、120年前に熊本で移住して、結婚をして、子が生まれて、父親となった漱石。なかなか子宝に恵まれず、やっとの想いで、長女を授かった瞬間――〝生命の神秘〟を感じ、詠んだとされる句がスタッフたちの心に流れてきました。

――「まるで、会場内で芸術作品に囲まれていると、母親の胎内にいるかのように安らかだ」

スタッフ全員の心を代弁して口を開く志知正通。
午後2時となり、閉館した後も、会場内には日本全国でご活躍されているアーティストの皆様の想いが籠った芸術作品たちが〝竹あかり〟とともに神々しい光を纏っていました。いつまでも、ぽぅっとした聖なる光を宿しながら……。

撮影/遠山 高広
文/V.ゆねりあ