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ヨーロッパ49カ国で、1200万人もの人々が待ち焦がれている『ヨーロッパ文化遺産の日』この日はフランスでは文化省が運営し、普段は一般公開されていない歴史的建造物や遺跡などが開放される日となっています。協力機関としては、欧州議会と欧州委員会の後援、歴史記念物及び、個人所有の建造物、さらには、国立記念物センター、歴史と芸術の国と市のネットワーク、文化遺産財団、文化遺産保存協会等の幅広い支援を受けて実施されています。

開放施設には、フランス大統領官邸のエリゼ宮を始め、ヴァルミーの風車や、ストラスブールのヨーロッパ議会の建築物、或いは、フランスの国民議会であるブルボン宮から古の修道院モン・ヴァレリアン要塞など、17,000ヶ所以上に及ぶ場所が公開され、人類の叡智を知る貴重な機会となっています。

『Paris世界平和恩送りアートラベル展』が開催される12区(ベルシー地区)は、パリの南東部に位置し、セーヌ川の北岸に面しており、ヴァンセンヌの森を含み20区あるパリの中で最も大きい区としても知られ、パリでは人類最古の痕跡が発見された神聖な場所としても有名な地区となっております。

2016年9月18日 ヨーロッパ文化遺産の日――。
アートラベル展当日、日本より一足早めの秋を迎え、乾いた風が吹く爽やかな朝を迎えました。

午前9時。ベルシー美術館の学芸員の方々と弊社スタッフが開場の10時に合わせ準備をしていると、外から大勢の話し声が聞こえて来ました。
実は半年前よりフランス側最高顧問のベルシー美術館館長のジャン=ポール・ファヴァン先生のご協力により、広報活動がされており、開館前より多くの人々が長蛇の列を作っていたのです。それは、本展覧会である『Paris世界平和恩送りアートラベル展』には大きな2つの趣旨を持つと、事前告知に示されていたからでした。

まず1つ目は2015年11月13日(日本時間14日)に、パリの市街地と郊外のサン=ドニ地区にて発生した『パリ同時多発テロ事件』の鎮魂です。130名の死者と、300名以上の負傷者を生んだ無残な事件が2度と起きぬ様にと、約400年前の江戸時代に寺子屋で学ばれた日本の恩送りの精神によって、世界平和を皆で願うという思いを込めたものでした。

2つ目は、今年2016年は、明治時代に日本人の洋画家の先駆けとしてフランスで活躍し、近代洋画の父とも呼ばれている黒田清輝の生誕150周年を記念した大吟醸ライスワイン『久遠の湧水』に日本を代表する芸術家の皆さまが制作された芸術作品をアートラベルとして起用し展示を行うということです。黒田清輝が1900年に開催されたパリ万博に出品し、人気を博した代表作『湖畔』と現代日本人作家の作品との共演が行われるとの内容で大々的に告知されていたのです。

開場の10時を迎えると、一斉に館内に人々が殺到し、エッフェル塔を建築したギュスターヴ・エッフェルの1番弟子として名高い、ルルーの手によってワイン倉として建築され、フランスの歴史的建造物に指定されているべルシー美術館の趣のある内外観を眺めなら楽しそうに館内に進んでいく姿が見えました。

次にご来場者はメインの建造物である“Musée des Arts Forains”を通り、展示されている17世紀~19世紀に作られた美術品の数々や展示物を観覧し、今回の『Paris世界平和恩送りアートラベル展』が開催されている、美術館中庭の会場へと次々と足を運んで行きました。

アートラベル展会場では、日本画・洋画・彫刻・工芸・書道・写真・詩歌・フラワーアート・きりえ・ジュエリー等の日本芸術のオールジャンル、総数281本のアートラベルが貼られたライスワイン《日本酒》が、弊社スタッフとベルシー美術館の学芸員の手によって整然と並べられました。展示台の横には恩送りの考え方を詳細に知っていただく為の大型パネルが設置され、さらに今回のご来場者には、ベルシー美術館の提案で、日本の文化である『七夕』を体験していただく為のテーブルも置かれ、ご来場者を迎えていました。

並べられたライスワイン≪日本酒≫を手にご来場者たちは喜びの声と、感心する様子が会場内のあちらこちらで見える中、ひと組の家族連れが「すごいね!」とびっくりした様子で言いました。

「みんなどれも素晴らしい!私も妻も美術大学出で、趣味で今でも絵を描くし、フランスには素晴らしい美術館がいくつもあるので家族でよく行くのだけども、日本画や洋画、書道だけでなく、写真や造形作品も万遍なく美しいですね!それと、文芸も心に響く作品ばかりで日本芸術をより深く知りたくなりました!!」と感激の言葉を口にすると、スタッフに「ちょっと描き写しても良いですか?」という声が掛かりました。 「ベルシー美術館の告知を見て、半年前から今日を楽しみに南フランスのニースから来たんです。今日しか見られないのでは勿体無いので、気に入った作品を描き写しておこうと思いまして」と、スケッチブックを手にラベル達に真剣な眼差しを向ける老紳士の姿も――。

展示台の横に設置された平和を願う短冊を書き込むブースでは、「ママ、これ書いてみたい!どうするの?」と女の子がお母さんに聞くと、「これはね、世界の皆が幸せになりますようにってお願いするのよ」と、書くのを手伝う親子連れの姿がありました。

ベルシー美術館館長
ジャン=ポール・ファヴァン先生

そしてたくさんの人々が思い思いにライスワインラベルを鑑賞して行く時間が瞬く間に流れ、ご来場者がピークを迎え、表彰式が行われる午後4時。
会場中央にて、ベルシー美術館館長のジャン=ポール・ファヴァン先生がマイクを手に、語りかける様にご来場者達に言いました。

「皆様、ご来場ありがとうございます。楽しい時間をお過ごしになられておりますでしょうか。ただいまより当展覧会の表彰式を行います。その前にひとつ、まず日本のアーティストの皆様に深く御礼申し上げます。昨年11月、ここパリでは突然、悪夢のような悲劇が起きました。事件以来パリでは深い悲しみが街を包み、私も含め皆肩を落とし、悲しみに打ちひしがれた日々を過ごして来ました。ですが今日一日、ご来場された皆様の顔を拝見しておりますと、事件が起きたことがまるで嘘の様に笑顔が溢れていると感じました。これは、日本のアーティストの皆様のおかげに他なりません。本当にありがとうございます。そしてここにいる私たちフランス国民はこの日の出来事を生涯忘れることはないでしょう」

野外用の大型スピーカーから流れるその言葉が会場に響き渡ると、ご来場者達の地鳴りの様な拍手と、歓声が美術館全体を包み込みました。

表彰式ではひとりずつ名前が読み上げられ、表彰状とこの度のライスワインラベルがベルシー美術館へ永久収蔵された証である収蔵証明書に丁寧にサインされ、手渡されていきました。

表彰式が終わると、ジャン=ポール・ファヴァン先生と弊社代表志知正通によって、鏡開きが行われ、この度の銘酒『久遠の湧水』が並べられた檜作りの升に次々と注がれていきました。

このお酒は“近江の美酒”の作り手として有名な滋賀県所在の池本酒造様によって、この度の『Paris世界平和恩送りアートラベル展』の為だけに謹製され、大吟醸の格付けを持ち、『久遠の湧水』と命名されました。銘柄の意味は今展覧会に合わせ、久遠=永遠。湧水=湧き水。つまり湧き水も結びつきながら、やがて川の支流となり、それが大河となって海に繋がってゆく。ひとりひとりの世界平和を願う気持ちが永遠に世界に広がる様に…… という願いを込めて名付けられたのです

「それではどうぞ!」スタッフの掛け声とともに、非売品として作られた幻の銘酒と併せて、この度のラベルに起用された芸術家の先生方のお作品で作られた恩送りカードが手渡され、会場からは大吟醸のライスワイン≪日本酒≫に舌鼓を打つ感嘆の声で一杯になってゆきました。

ジャン=ポール・ファヴァン先生と
弊社代表 志知正通

この恩送りカードには、“誰からかいただいたご恩を、直接その方にお返しするのではなく、別の方に送る。そしてその送られた方がさらに別の方に送る。そうして「恩が世の中を循環することを言います」”と書かれていました。

受け取った人の中には、「これはとても素晴らしい文化だと思います。これなら誰に対しても分け隔てなく、恩送りが伝わって行きますね。早速このカードと、お酒をいただいたご恩を、来週の週末に、お隣の老夫婦が住む家の芝刈りをしてあげたいと思います!夏に良く伸びて、やってあげたいなぁと思っていたところなんです!」とはにかんだ顔で話す青年の声も――。

そして閉館時間の午後6時――。
ベルシー美術館では館内外にヨーロッパ様式の照明や電飾が装飾されており、陽の光が落ちた頃に一斉に点灯されます。
その幻想的な光のオブジェが美術館全体を照らすと、その光を背に浴びながらご来場者達は恩送りカードと、配られたライスワイン《日本酒》を手に、笑顔で美術館を後にして行きました。

恩送りの精神によって新しい日仏友好の門出となったこの日。
美術館を訪れたご来場者と、恩送りにてその善意の恩恵を受けた人々によって、この日の出来事と恩送りの精神は、遥か遠い国々にまで久遠に語り継がれて行くことでしょう。

文/田村 芳明

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アーレー・センプル画廊代表
キャトリーヌ・トパル氏

展覧会の翌日、弊社スタッフは長谷川栄先生の個展会場へと向かいました。

フランス国道の起点であるノートルダム大聖堂から南西18マイルに位置する街・Longjumeau(ロンジュモー)にあるAller simple(アーレー・センプル)画廊。

この画廊は、フランス人アーティストの芸術交流の場であり、世界各国のアーティストの作品が紹介されている画廊として知られています。

今回の長谷川栄先生の個展では、プレゼンターとしてロンジュモー市長のサンドリーヌ・ジロー氏や、同市文化副部長アントワーヌ・プレオ氏、地元工業高校の学校長のパスカル・ポマ氏等が携わり、個展会場では優雅なジャズ演奏等も催されました。

残念ながら長谷川先生は、昨年のお怪我の影響で、大事を取って渡仏されなかったのですが、サンドリーヌ・ジロー市長や画廊主であるキャトリーヌ・トパル氏等のプロデュースによって、長谷川先生の彫金作品が見事な幾何構成となって展示されていました。

久遠の栄光祭実行委員の一員である弊社代表・志知正通の手によって、ファイリングされたライスワインラベルがキャトリーヌ・トパル氏に手渡されました。個展を見に来られたご来場者に、丁寧に作品たちを紹介されて行く光景を目にし、会場を後にしました。