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ベルシー太陽芸術祭祭特別動画

 

すべては、まるで魔法の世界でのできごとのようでありました。

「その日は、朝からとても心地よく、煉瓦で造られた道の上をころがるマロニエの実も微笑んでいる風に見え、世界中の芸術家たちがモチーフとした空と太陽は、ひときわ輝いているみたいでしたね」――そのような声が秋の風にのって聞こえてきた日。 

それは、2009年9月20日《ヨーロッパ文化遺産の日》でした。 

会場となったベルシー美術館では、開園前から長蛇の列ができ、門の外から『ベルシー太陽芸術祭』のバナーやポスターをみつめる人々が溢れています。もともとパリのベルシー地区は、かつて太陽王と呼ばれたルイ14世の時代に世界一のワイン蔵として栄えた街。 

その大舞台で、フランスワインのアートラベル展が行われるのですから、それは大変な話題だったのです。 

しかも、ベルシー美術館は街の中心にありながらも、フランスの政府より歴史的建造物指定を受けているので、一般の方にとっては、なかなか入館が許されない憧れの場所――ゆえに人々の期待は、時間とともに膨らんでゆきました。

午前10時30分。 

開園とともに開かれた扉の先には、四つの大きなアートラベルのタワーと赤いテーブルクロスの上にワインボトルがズラリと並んでいます。その光景に人 々は、思わず感嘆の息をもらし、子どもたちは嬉しさのあまり両の手で、父親と母親の服の裾をそれぞれひっぱって喜んでいるのでした。 

「フランス文化省誕生50周年を祝うに相応しい芸術の祭典ですね。あそこにいる家族も、あちらにいる学生さんたちも、本当にステキな表情を浮かべて……」と、久遠の栄光祭実行委員長の長谷川栄先生は、あらためて審査中のアートラベルのタワーをみつめています。 

展示総数300点のアートラベルは、洋画・日本画・書道・工芸・陶芸・詩歌・写真・フラワー・ジュエリーなどのジャンルで構成されていて、鑑賞者の方々も目を輝かせながら集まってきました。

 

ベルシー美術館は毎年、ヨーロッパ文化遺産の日になると、来館者数が一日で5,000~6,000にも上るとも云われているので、事前に久遠の栄光 祭実行委員会フランス最高顧問であるジャン・ポール・ファヴァン先生(※ベルシー美術館館長)よりメディアを通じて、「日本から選ばれた芸術家の方々の作 品ラベルを原寸大のものからB5サイズに拡大して展示する」と告知していただいたこともあり、パネル展示されたラベルの周辺は、すぐに人でいっぱいになっ たのです。 

それから「もっと深く日本の芸術に触れたい」との声が場内の至るところから聞こえ、実行委員会の先生方やスタッフが(ご出展時にいただいた)各作家の先生方のコメント文をもとに通訳の方を通じて、鑑賞者の方々に伝えてゆきました。 

目で捉える作品の技術やクオリティへの感動と耳から入る情報によって創られてゆく物語。一瞬、カメラのシャッターを押す手が止まり、アートラベルと 一体化した世界《作品》の素晴らしさに心を打たれ、自然と動きだす両手が拍手へと繋がって……。気がつくと、いつのまにか、アートラベルのパネルに手を合 わすご年配の方や作品について、ご家族で話し合う人たちがカメラマンのファインダーの中に映っていました。

 

――カシャ!

 

一枚、二枚、三枚と写真の中へと収められ、その度にあちらこちらで、生まれる喜びの声。それに合わせるようにして、会場内に凛とした声が重なりました。ジャン・ポール・ファヴァン先生です。 

「芸術は一つの世界であり、無限の世界への入り口でもあります。ゆえに今日(9月20日)といふ日に出会った日本芸術とフランスワインの融合である アートラベルは、みなさまにとって、新たな世界への旅立ちともいえましょう。幻想的な世界を演出する当美術館で、ベルシー太陽芸術祭が行えたことを心から 感謝しています。本当にありがとうございました」 

挨拶を終えたジャン・ポール・ファヴァン先生は一礼し、ツアーでご参加いただいた先生方とともに館内へと入ってゆかれました。

 

――聖なる灯火《太陽》と聖なる灯火《月》。

 

実は、この二つのワインには秘密があり、なんと『ベルシー太陽芸術祭』そのものを具現化したものなのです。一つ目の聖なる灯火《太陽》は、当日のご 来場者数が10,000人になることを願い、アートラベルに触れた時の人々の姿が陽に浴びて微笑む姿を彷彿とさせるだろうとのことから命名され、二つ目の 聖なる灯火《月》は、会場であるベルシー美術館の内観にちなんでとのこと

 

――扉の向こうには、まさにその謂れのままの空間が広がっていました。

 

時間を忘れてしまいそうな場所の中、目に映るのは夜空に浮かぶ銀河の世界。 

手を伸ばせば、回転木馬を彩る電飾が幼年時代に思い描いた宝物のようにきらめいて、

星を数えるみたいに馬車や舟の明かりを指差しては、思い出たちが脳裏を廻ってゆくのでした。

 

――白き木馬は、いったい今まで、どれだけの人を乗せてきたのでしょうか?

 

アンティークな回転木馬にゆられて流れた優雅なひととき。 

やがて、現実の世界では正午を迎え、再びメイン舞台は、屋外のワインラベルの展示会場へと戻りました。

 

そして、ワインの試飲会が始まり、音楽隊の方々が弦楽器を手に場内のムードを高めて、子どもたちは輪になって、ラベルに記された世界を囲んでいます。いよいよ、長谷川栄先生とジャン・ポール・ファヴァン先生にサインをしていただいての表彰式。 

名前を呼ばれて、会場から沸く拍手――その姿をたくさんの子どもたちが憧れの眼差しで見つめ、大人たちは「夢を大切に持ちなさい」と我が子の頭に手をあて、微笑むのでした。 

「ご受賞おめでとうございます!」 

いろんな角度からカメラのフラッシュが光る中、黒子的な役目とフランスの方々に和の雰囲気を楽しんでいただこうと忍者の恰好に扮したスタッフの声。 

その刹那、不思議なことに一陣の風とともに舞い降りた黄色の葉さえ拍手してみえたのです。

 

そうやって、ワインの香に包まれた場内には、グラスを片手にアートラベルを鑑賞する人たちの歓喜の声がいつまでも聞こえてきました。 

「今日ね、一緒に来ようと約束した隣の席の子が風邪をひいちゃって。それで私がたくさんの写真を撮ったの」とウインクしてみせる小学生の女の子。 

「僕は、芸術が大好きなおばあちゃんと来たんだ。いつも家族で、ご飯を食べる時に日本のことを話すんだよ」と誇らしげに和をモチーフにしたシャツを着た男の子。 

「こうやって、フランスワインのアートラベルに日本の芸術が起用されていると、両国が握手をしているようね。これからも、ずっと仏日が仲良くやっていけますように」と願う貴婦人。 

ベルシー太陽芸術祭と記されたバナーを夕陽が紅く染める頃、空には月の姿があって、会場内で幾千もの視線を浴びたアートラベルのタワーは、まるで星のように瞬いて見えました。 

そう。ベルシー太陽芸術祭の会場そのものが幸せの魔法に包まれたみたいにして――。

 

文/V.ゆねりあ

撮影/遠山 高広