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「近未来的な街の中にも自然の息吹を感じますね」

一陣の風にやさしく頬を撫でられ、そっと微笑まれる美の黎明祭実行委員長・長谷川栄先生――その双の目には、ガラス張りの窓に映るメタリックな世界と風に身を委ねて揺れる小さな花々の姿が映っていました。 

ふんわりと鼻腔をくすぐる潮の香と朝靄に包まれた世界的にも有名な東京ビッグサイトの一角であるTFTホール1000。その周囲では、ゆりかもめが左右に奔り、遠くには観覧車や目映いほどに輝くシルバー色の球体が印象的なフジテレビがみえます。

 

「この幻想的な風景は、まさに『美の黎明祭』の会場に相応しいですね。一つ一つの作品たちも作り手の心をダイレクトに伝えられる場所だと喜んでいるみたいに見えますよ」と長谷川栄先生は、弊社スタッフ一同に目配せをされ、212点の作品の前へと立たれました。 

2009年4月30日。午前9時――ちょうど、開場する一時間前のこと。 

前日から約17時間かけて、1000平米の空間に設置された展示台やパーテーションには、作品が整然と並び、照明を浴びたその姿は凛として、まるでご来場者の方々を待ち侘びるかのように佇んでいます。 

――「"ご観覧者の方々の視線に合った高さ"を大切に……」 

実行委員会の先生方の拘りをもとに完成した会場は、ちょうど上から見ると鳳凰が飛翔している優雅な様を彷彿とさせ、会場の中央に展示された立体工芸 作品を軸として、左右に日本画ブース、洋画ブースが設けられ、作品の大きさに合わせて書道ブースや詩歌・写真などの工芸ブースなどに分けて展示されました。 

また目録に添って、ご来場者の方々が観覧しやすいようにとのことから各ジャンルごとにアイウエオ順で展示してゆき、さらには作品の大きさや形状によって、照明の方法や明るさを微調節させていただいたのです。

 

そして、10時になり、弊社・代表の志知正通の挨拶とともにセレモニーが始まりました。 

M.Y.Y.コミュニケーションズにとって、初の作品実物展。それを迎えるにあたっての想いとご参加いただいた先生方への感謝の気持ちが言葉となって、場内に広がってゆきます。 

その後、実行委員長の長谷川栄先生、デザイン研究家の牧谷孝則先生、心理学者の清田予紀先生、JCV(世界の子どもにワクチンを日本委員会)広報の若林直子様にもご挨拶をしていただき、テープカットとともにクラッシックのBGMが流れ始めました。

「うわぁ。スゴイ。ステキな展覧会場ね」 

盛大な拍手とともに聞こえたご来場者の方々が発した感嘆の声。 

この時、弊社スタッフたちは、ご来場者の満面の笑みに触れ、思いました。「ああ。温かい会場だな」と。 

煌びやかに輝く照明の下、ご自分の作品について語られる作家の先生。 

その隣で、作品に込められたメッセージを感じようと耳を澄ます人々。 

「今日、ここの場所に来て、この作品と出会えて、本当によかった」と目を輝かせる学生さん。 

ケータイの写メやカメラのシャッター音が鳴る度に一枚、また一枚と、至福のひとときが画像として記録に収められてゆき、会場の受付では、芳名帳にお名前が記されてゆくごとに緑の募金箱の中で、シャランと音が聞こえてくるのでした。

 

「一本あたり20円で入手できるポリオワクチン。しかし、その事実は、まだまだ知らない方が多く、『美の黎明祭』を通じて、一人でも多くの方々に知っていただければ、幸いですね」とは、実行委員長の長谷川栄先生のお言葉。 

たしかに平和で、豊かな日常があたりまえとなった日本において、病魔に冒されて苦しむ子どもたちのビジョンは、リアリティがないのかも知れません。 

「こんな今の時代だからこそ、私たちは広い視野を持って、あらゆる物事に興味を示すべきなのでしょうね。それこそ、芸術と対話する時と同じように温かい心を持ってね」 

そう仰って、実行委員長の長谷川栄先生は、展示会を終えた会場をもう一度、見渡されました。 

「え? ポリオワクチンって一本、わずか20円なんですか?」と驚かれる方。 

「最初は、チャリティーって、具体的にどうすればいいのか分かりませんでしたよ。でも、この会場に来て、芸術作品を観ていたら、何となく分かったような気がして」と、しきりにシャツの襟を気にして、はにかんだ男性。

 

「今まで、私がやらなくてもいいんじゃない? と思っていたけど、会場でお会いした作品と先生ご本人にお会いして、今日からできることを始めようと思いました」と恥ずかしそうに帽子で顔を隠す仕草をされた女性の方。

そこには、母胎のような安堵感があり、4月30日と5月1の二日間で、芸術を通じて、さまざまな物語が生まれたのでした。

――およそ8000本分のポリオワクチン。

それは、一つの始まりを告げる形であって、終わりではありません。

きっと、ここで誕生した笑顔は、未来への架け橋となって、新たな世界を照らし続けることでしょう。春の陽射しの如く、ずっと……。


文/V.ゆねりあ

撮影/遠山高広